朝、目覚めた時に雨音が聞こえるというのは、なんとも心地よい。
まどろみながら、耳を澄ませるのが好きだ。
思えば、息子を出産した日も同じように雨音がした。もうろうとしながらもその音を聞いていた。
夫が、ほら、好きな雨が降ってきたよと、わたしを励ましてくれたのをよく覚えている。
そうそう、娘が生まれた日は、雪が降っていた。あの頃は札幌に暮らしていて、その冬の根雪になった日だった。
どか雪で交通が乱れているのに、生まれそうなんてどうしましょうと、てんてこまいしてしまった。
そういう記念すべき日のお天気は、しっかりとその情景と共に心に焼き付いているものだ。
あれから、長いとし月が流れて、子どもたちはもうその時のわたしよりもずっと大人になってしまった。
なんだか、追い越されてしまった感じがするくらいだ。
なんて、わたしこそ、すっかり年を取ってしまい、鏡を見るとがっかりなのだけど。
一方で、ちっとも年を取らずにいる夫。時折、写真に向かって文句を言いたくなる。
再び会える日が来ても、わたしだけおばあさんなんて、ほんと、困ります。
どうしたものかと、いえ、どうにもできないけれど、とにかくそれは受け入れがたい。
ふーっとため息がひとつ漏れてしまった。
いけないいけない、ため息つくとしあわせが逃げて行くよって、言われていたっけ。 |