ジョルジュ・ルオーについて知ったのは、遠藤周作の小説からだ。
図書館から早速画集を借りてきて、何度も食い入るように眺めた記憶がある。
それまで観てきた宗教画の概念を覆す絵ばかりだった。
さて、パナソニック 汐留ミュージアム 開館15周年特別展 ジョルジュ・ルオー 「聖なる芸術とモデルニテ」に足を運んだ。
20世紀フランスを代表する画家ジョルジュ・ルオー(1871-1958)
生涯にわたってイエスや聖書の絵を描き続け、特にキリストの「聖顔」を何枚も何枚も描いている。
ルオーの描くキリストの顔は全く整っていない。
穏やかな優しさや、静謐さや高貴さだけでなく、ほとばしる情熱、パッションを感じてしまう。
キリストの孤独と苦渋、悲哀、祈りと愛も伝わってきて、観るものを圧倒する。
ルオーはただひたすらにイエスを、愛していたのだと思う。
恋と言ってもいいような高まる気持ちを抱いていたのだと思う。だから、あんな力に満ちたキリストの聖顔が描けた。
実際、信仰は恋に似ている。ふつふつと湧き上がる感情は、誰にも止められないものだ。
生涯を終えるまでルオーはイエスを愛し続けた。絵を描くことがルオーの献身だったのだろうか。 |