想い出深い碌山美術館
絵を鑑賞するって、どうしたらいいのかわからないな。
あら、ただ観て
きれいだなとか、おもしろいなとか、 悲しそうとか、自由に想像すればいいんじゃなあい?
夫に尋ねられた時に、そんな風に応えた。私だってわからない。でも、気持ち良い絵を観たら、さあっと目の前が開ける気がする。
結婚しなかったら、こうして美術館巡りをして絵や彫刻を観ることなんて、きっとなかっただろうな、とも夫はつぶやいた。
二人で生きることで、広がったよね、確かに世界は二倍になった、うん本当に。
彼と一緒にならなかったら、
まず、車の免許は取っていなかった。
山登りも、キャンプもしていなかったのは確実だ。
そして犬を好きになることもなかった。
もう一つの違う世界を示してくれたのだった。
何でも悲観的に考えていた嘗ての私には、大体、幸せを感じることってどんなかわからなかったし、そうなれるなんて夢にも思わずにいたから。
人生、本当に分からないものだ。
十代の私にしてみたら、今の私は奇跡なんだから。
って、夫に話しかけてみた。 |