ひと月ほど前の日曜の夜、小曽根真とチック・コリア、NHK交響楽団、指揮:尾高忠明による「モーツァルト 2台のピアノの協奏曲 変ホ長調K.365」の演奏がEテレで放映されていた。
見逃さなくて、本当に幸いだった。
それはそれは素晴らしかったから。録画していたので、何度も繰り返し観て聴いている。
思わずブラボーと手をたたき興奮していたら、かたわらで寝そべっていたkaiちゃんが、とび起きた。
奔放なチック・コリア氏と律儀な小曽根さん。
自由に音をあやつり愉しむ演奏に、モーツァルトがその場にいたら、眉をしかめただろうか。
息子に尋ねたら、いや、モーツァルトならそんなことないでしょうとひと言。
そう、おそらくモーツァルトさんなら、苦笑いしつつも喜んで拍手したに違いない。
アンコールのアルマンドズ・ルンバは圧巻だった。
アンコール演奏前に、譜面台をよいしょと片付けてしまってウィンクするお二人。
そして、まさに本領発揮の演奏にはうなってしまった。
常に新しいことを試み、進歩を遂げているお二人。ジャズやフュージョンにとどまらずクラシックのジャンルでも多く演奏している。
スマホで観客の写真を撮るおちゃめなチック・コリア氏、曲に入り込んで口をへの字にして演奏する真面目な小曽根さん。
いかにも楽しそうに指揮をする尾高忠明氏。
我々をひとり残らずぐいぐいと音楽の波の中に引き込んでいく。
モーツァルトに感謝!チック・コリアと小曽根真に、尾高忠明とN饗に、そしてすべての音楽家に感謝したくなった。
決して大げさではなく、確かに音楽は生きる歓びを呼び起こしてくれる。
がっかりすることばかりで、めげそうになったりあきらめたくなったり、そんなことの方が多い日常だけど、上質な音楽を聴いた時には、また前を向いて明るく生きようと思うのはきっと私だけではないだろう。
※放映されたのは、NHKクラシック音楽館
第1835回 2016年5月14日 N饗定期公演
モーツァルト/2台のピアノのための協奏曲 変ホ長調 K.365
指揮:尾高忠明
ピアノ:チック・コリア 小曽根真
今回の《2台のピアノのための協奏曲》の演奏での第1楽章と第3楽章のカデンツァは、チック・コリアによって作曲された短いモティーフに基づくものだそうだ。 |