EIICHI OHTAKI DEBUT AGAIN & 吉田 美奈子 FLAPPER(2015 吉田 保 remastering)
吉田美奈子と言えば、はりのある伸びやかな高音の「夢で逢えたら」の歌声を思い出す。
大瀧詠一が彼女に提供した曲だ。
思い出の中には、必ずその時の音楽がある。
70年代終わりから80年代にかけて、その頃は子育てに忙しくしていたけれど、私の青春まっただ中でもあった。
私たちは若く結婚して子供を持ったから、青春と子育ては同時期だったのだ。
おんぼろサニーしかもエアコンなしで子連れで毎週海に出かけ、
TDKのテープADに好きな曲をダビングしては夢中で聴きまくっていた。
独身の友人たちがいつも小さなアパートの我が家を訪れてはわいわいがやがや賑やかだった。
途方もなく貧乏だったけれど、少しも悲壮感がなかった。
楽しくて楽しくて楽しくて、笑ってばかりで、毎日がおもしろくて、底抜けに明るい日々だった。
そんな時に聴いていた大瀧詠一のナイヤガラサウンド。
A LONG VACATION
EACH TIME
NIAGARA TRIANGLE
今聴けば、当時の私たちが目に浮かぶ。
ばかなことばかり言って、笑っていたあの頃。
いろいろな苦労もあったけれど、そんなの吹き飛ぶほど、心はどこまでも晴れ渡る濃い青空だった。
大瀧詠一さんが亡くなって2年が過ぎ、セルフカヴァーのアルバムが32年ぶりに発売された。
思わず、買ってしまった。彼の歌う「夢で逢えたら」が聴きたくて。
でもしかしだ、大瀧さんとしては、世に出してほしくなかったかもしれないとも思う。
これはデモテープ音源であって、あくまでも自分用だったのかななんて。
ともあれ、私はとっても嬉しいけれど。 |