私にとってのベストは「羊をめぐる冒険」
正直、1Q84を読んでから、もう彼の作品は読まないだろうと思いました。
上中下の長編を、読み進める内に投げ出したくなりましたが、それでも読み終えたのは、これで終わるはずが無い、きっと何か響くものがあるはずだと期待していたからです。
しかし、読み終えて、正直、失望してしまいました。
奇をてらった設定や物語の節々は刺激的ではあるのだけれど、示される暗示的な事象に深い意味を見出すのは難しく、強烈に引き付けられる言葉も見つけられず、結局ストーリーもしり切れていたから。
何より、魅力的な人物はそこには登場しないことがとても残念でした。
これはすべて私にとってと言うことで、要するに、より前衛的になって行く村上氏の作品に、私が付いて行けなくなったと言うことに過ぎないのでしょうが。
3.11の後、原発を容認して来た日本人全体をあれだけ批判したのに、その後の村上氏の言動は伝わって来ません。
多くの時間を外国で過ごしながら、遠くから日本をどう眺めているのかなあなんて思ってしまいます。
実は過度の期待と分かっているのですが、この2年の間、何かのアクションを起こすなり、メッセージを発するなりして欲しいと願っていたからです。
今日、村上春樹の長編小説[色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」が発表されるとメディアは大騒ぎです。しかし、1Q84で彼から離れてしまった読者も多いのではないかと私には思えてなりません。
何も、そんなに大騒ぎをしなくてもいいのでは?
他にも評価に値する作品はいくらでもあるのにと思います。
今は商売上手の村上春樹と言われても仕方の無いことのように映ってしまいます。
が、しかし、私もこんなことをここに書いているくらいだから、踊らされているのかもしれませんね。 |