竹橋で打ち合わせがある日は、時間に余裕があれば東京国立近代美術館を覗くことにしている。
その日は「平山郁夫・・・祈りの旅路」が開催されていたので、2時間ほど早めに出かけて行った。
箱根の成川美術館で初めて作品に出会ったのは、随分昔。
全く知識のない私が想像していた日本画は、富士山や松や梅といったモチーフで墨絵のようなイメージであったのに、そのシルクロードの絵は全くそんな先入観を一掃させてしまった。
以前テレビから平山郁夫氏が広島の被爆者であることを知っていたので、「祈りの旅路」と題した今回の展覧会はどうしても観ておきたかったのだ。
「仏教伝来」から始まって仏教をテーマとした作品が多くあるが、仏教徒と言うわけではない。
インド、シルクロードへ繋がり、オリエンタル且つ幻想的で雄大な砂漠や古代遺産の風景が広がる。
取り分けそれらの風景の空の色が非常に印象的であった。
紺碧であったり黄土色であったり、強いオレンジ色であったりするのだが、「広島生変図」の空だけは真っ赤に燃える赤色だった。
知名度が圧倒的に高い一方では、その商業主義に対する批判もあるようだが、喜寿を迎えても尚、創作意欲の衰えていない氏には心から感服する。 |