午前中からのクライアントとの打合せ。ちょっと憂鬱だ。
そんな風に見えないと言われるかもしれないが、人と会うのが苦手な私である。仕事で人と会った日は、それだけで相当なストレスになって、くたくたに疲れてしまう。机に向かって黙々と作業している方が性に合っているとつくづく思う。
でも今日は、打合せが早めに終わって「そうだ!」と気が付いた。打合せ場所であった竹橋のビルのすぐ隣の近代美術館で「藤田嗣治展」が開催されているのだ。いつもなら、仕事の途中ではそんな事思い出しもしないのに、今日は余裕があるのかな?1つ目のラッキーだ。
スタバでコーヒーを飲んで一息吐いてから、いそいそと美術館へと足を向けた。きっと平日なら空いているだろうと思ったら大間違いで、多くの人達で賑わい、とりわけ中年の女性二人組の多いことに驚いた。そう言えばこの美術館のせいだろうか、竹橋ではビジネスマンに混じって少し着飾ったおば様達によく出会う。土日なら、長蛇の列に並ぶところだろうが、そこはすいすい入ることができて、2つ目のラッキー!
藤田嗣治はピカソをして唯一「彼こそ天才」と言わしめた画家だそうで、パリで最も成功した芸術家の一人である。ずっと昔 晩年に描いた子供をモチーフにした絵を見て、その無表情な眼差しにあまり私にはなじめないと感じたが、今回の展覧会のポスター「カフェにて」には心ひかれた。カフェに一人、ぼんやりと頬杖をついている女性、テーブルには手になじんだ黒いバッグとインクの滲んだ手紙、ワイングラス、幸せでもなく不幸でもない表情 親しみがあって、とても共感できる雰囲気 こんな絵も描いていた画家だったのか。
それと印象に残ったのは藤田の有名な“乳白色の肌"の裸婦の絵の中の一枚、「砂の上で」
砂の上に横たわる2人の優美な裸婦、傍らには赤ちゃんが仰向けにすやすや眠っている。周囲には多くのきれいな貝殻や小さな蟹が細い繊細な線で描かれている。こういう陶器のように美しい白色の絵を見たことがない。
さて、美術館を去り、北の丸公園の満開の桜を遠目に眺めながら、時間があればあの桜並木の下をふらふら歩きたいのになと思いながら、代々木まで用事があったので飯田橋に出て中央線に乗った。そして3つ目のラッキーです。車窓からは満開の桜並木が目に飛び込んできた。幸せな気分になって、ランチはお昼休みの娘と落ち合いそそくさと済ませ、また午後の仕事へといそいそ戻ってきたのだった。
午後はまた別の打合せが続いたのだが、すべてサクサク終わりラッキーな一日であった。 |