数年前、まだあの9.11の事件が起きる前、初めて一人でアメリカに旅した。きっかけは留学していた息子が帰国することになったので、その前に一回行っとこうかなと思ったから。だから純粋に一人旅ではなかったのだが、初めて10日間の休みを取り5月の終わり 気持良い季節に出かけてきた。インターネットで予約したホテルに「知らない」とか言われたり、帰りのチケットが1ヶ月遅れの日付になってエアポートで慌てたり、いろいろハプニングがあってそれも楽しかった。と言っても、一人旅のつもりが、現地では息子がすべて案内してくれて、大助かり。
おそらく息子と2人で旅行するなんて、始めで最後だろうな。
目的地はボストンだったが、ニューヨーク経由だったので2日間はニューヨークに滞在して、念願のメトロポリタン美術館へ足を運んだ。
その時 出会った絵がゴッホの「Shoes」だった。「古靴」はとても有名だが、この絵はずっとずっと子供の頃に本(たぶん教科書)で目にして心に焼き付いていた。まさかここで会えるとは思ってもみなかったので、心の中で小躍りしてしまったほど。
ボストン美術館でも同様だったが、人に押し合いへし合いされながらではなく、ゆっくりと好きな絵の前で何時間も過ごすことができる。だから模写している人もいるし、日本の美術、特に仏像が展示されていた部屋では座禅を組んでいる人までいて驚かされた。
それからストロボをたかない限りは写真もOK! もし日本であれば、係員が飛んで来てすぐにつまみ出されてしまうだろう。この写真はその時の一枚。デジタルではなかったのが残念だけど。
それと、絵は硝子張りの額には入っていない。だから光の反射がなく眺めることができる。それも間近で。
もうもう、嬉しい限りだった。
ゴッホの「Shoes」 1888年と言えばアルルの時代、ゴーギャンが来る前であったのか、迎えてからだったのか?あの黄色い家のかたすみに置かれた履き慣れてくたびれて来た靴。
ゴッホの?それともゴーギャンの? この靴を履いて、スケッチに出かけたのかな?
心穏やかに過ごしたわずかな日々の一枚なのだろうか。
星月夜(Starry Night)のあるニューヨーク近代美術館を訪れなかったのは不覚だった。
そのためにはまた行かなくっちゃ。
いつになることやらだけど、絶対行くと決めている。 |