kaiだらけでごめん 海ちゃんのお気楽生活
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JOY 2019/10/23
今日は良く晴れて、日差しが暖かでした。ずっと前の、そうもう14年も経つ、あの日も抜けるような青空だったなあと、しばらく空を眺めておりました。

あれから目まぐるしいほどにさまざまなことが起きて、世の中は随分と変わってしまいました。
わたし自身にも多くの変化がありました。とりまく環境も変わったし、仕事のやり方も以前とは違います。新しく始めたこともあります。
けれども、やっぱりわたしはわたし、変わることができなくて、ずっとそこにとどまってしまう、この頃は自分を保つことの難しさを感じています。

気づいたことがありました。喜びと幸せは別のものだと。「幸せ」というと捉え方では広く深淵な意味を帯びるので、むしろJOYとHAPPYの違いと言う方が当たっています。
JOY 生きていることの「喜び」と言ったら良いでしょうか。今ここにいて息をしていることの驚き、奇跡とでも言ったら良いでしょうか。

甘々なわたしが言っても説得力にかけるのは重々承知だけれど、
たとえ、困難を抱えて苦しんでいても、鉛のように重い悲しみの底に埋まっていても、とても幸福とは感じることができないとしても、喜びは常に持つことができると、そんなふうに思ったりしています。

いつか辿り着けるだろうか、この手につかめるだろうか、抱きしめられるだろうか、
たとえ夢であっても、あきらめずに、負けずに、歩いて行こうって、
いえいえ、実はくじけそうですけれどね。
でも、その喜び、JOYがあれば、大丈夫なのです。

わけのわからないことを書き連ねています。でも自分のためなので悪しからず。

今日の空の青さは目に染みました。流れる白い雲がとても優しくて、ありがとうと言う気持ちになりました。
愛する人の懐かしい声が聞こえて来るようでした。
そうして、やっぱり涙こぼれてしまいました。
お醤油さしから 2019/10/04
常に脇役のお醤油さし、やっと写っているのを見つけました。

気に入っていたお醤油さし、空になったのでお醤油を入れようと蓋を回しても開かない。どうしても開かない。ゴム手袋で回しても、お湯で温めても、開かない。指が赤くなって痛くなった。でも開かない。ほとほと困った。

無色の透明なガラスで蓋と底の藍色がきれい、ずっと昔、わざわざカッパバシまで出向いて、そこならきっと気の利いたのが見つかるのではないかと期待して、夫とあれこれ見ながら選んだもの、液だれしないし、小さめの思い通りの大きさ、手によくなじむ、いつから使い続けているか忘れるほど長く使って来た。それなのに、なぜ今になって開かないの。もう捨てるしかないのか。

これは、メッセージだろうか。
なんて、大げさだけど、本当にそうかもしれない。
もう、いいかげん、思い出にしがみつくのはやめなさいという意味かもしれないなあ。

思い出に生きているというのは、結構辛いものだ。それがもはや喪失してしまい、あるのは想像の空想世界だという事実に、いやがおうでも向かい合ってしまう。過ぎ去っているのだ、自分の場所を過去に求めてしまうのは、間違っていると思う。ならばどう生きればいいのか、たずねても答え無しなのが困る。

前を向くか、後ろを向くか。それがもっかの問題なのだ。もちろん、普通なら前を向くが正しい。でも、それがものすごく難しいから悩む。たぶん、過去も大事にしながら前を向くが正しいのだろうが、振り返れば、ついつい過去に引きづられてしまうのだ。そんな押し問答に辟易して、思い出に封印、昔話禁止なんて、自分に宣言してみるのだが、いや難しい。

やれやれ、どうしたものか。
と、思いあぐねていたら、数日後、お醤油さしがするりと床に落ち、粉々に割れてしまった。
ああ、仕方ないってことだ。これでふっ切れるだろうか。
お醤油さしごときで、あれこれと馬鹿みたいと我ながらあきれてしまうのだけど。
LARRY CARLTON with special guest RICHARD BONA 2019/09/02
ブルーノートでラリー・カールトンのLIVE、、、リチャード・ボナとの共演を観てきました。

LARRY CARLTON with special guest RICHARD BONA
ラリー・カールトン with special guest リチャード・ボナ
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世界初となる豪華共演!偉大なるギター・ヒーローと
天才ベーシストが繰り広げるプレミアム・セッション

ギター界、ベース界を代表するトップランナーが遂に出会う。ラリー・カールトンとリチャード・ボナのコラボレーションだ。カールトンはジャコ・パストリアスやスタンリー・クラークら数々の名ベーシストと共演盤を残し、ボナはマイク・スターンやパット・メセニーら名ギタリストのグループに在籍経験があるものの、両者の共演は今回が世界で初めて。ブルースをこよなく愛するラリー、“地球市民"を自認し独自のワールド・ミュージックを探求するボナ。演奏レパートリーは、両者の代表曲を中心に構成される予定だ。類まれなテクニックとセンスを持つふたりが、どんな“音の会話"を繰り広げるのか。一瞬も見逃せないステージになるはずだ。
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Larry Carlton(g) | ラリー・カールトン(ギター)
Richard Bona(b, vo) | リチャード・ボナ(ベース、ヴォーカル)
Paul Weimar(sax)) | ポール・ワイマール(サックス)
Ruslan Sirota(key) | ルスラン・シロタ(キーボード)
Gene Coye(ds) | ジーン・コイ(ドラムス)

期待通りのスペシャルな夜でした。
変わらずハンサムなカールトンのギターに酔いしれ、リチャード・ボナのおちゃめなMCに笑い、ベースのネックを握るその手の大きさに驚き、二人の超絶技巧の演奏に大いに盛り上がり、最高にかっこいい音楽を満喫しました。


#LIVE
東京ジャズ 2019/09/01
8/30,8/31,9/1の3日間に渡って開催された東京ジャズフェスティバル、最終日の夜の部に行って来ました。
今年もすごい面子が揃いました。

最終日、最後のステージはなんともすごい!
チック・コリア・エレクトリック・バンドとスナーキー・パピー

最初に音が発せられた時にはその素晴らしさに圧倒されて、心臓がどきどきしました。そして、最後まで、凄いとしか言いようのない、鳥肌立つ演奏でした。
行って良かったです。本当に!

18:00~ スナーキー・パピー
Snarky Puppy
3度のグラミー賞に輝くジャズ・コレクティブ、スナーキー・パピー
リーダーのマイケル・リーグを中心に、実力派ミュージシャンが流動的に参加する「不定形」プロジェクト

Michael League(b, band leader)マイケル・リーグ
Marcelo Woloski(per)マルセロ・ウォロースキ
Bob Lanzetti(g)ボブ・ランゼッティ
Bill Laurance(key)ビル・ローレンス
Bobby Sparks(Keys)ボビー・スパークス
Justin Stanton(tp)ジャスティン・スタントン
Jamison Ross(ds)ジェイムソン・ロス
Chris Bullock(sax,flute)クリス・ブロック
Mike "Maz" Maher(key, tp)マイク"Maz"マーハー

Set List
1. Ready Wednesday
2. Gemini
3. Bad Kids To The Back
4. Xavi
5. Palermo
6. Lingus
7. Sleeper

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19:50~
チック・コリア・エレクトリック・バンド
 withフランク・ギャンバレ、エリック・マリエンサル、
 ジョン・パティトゥッチ and デイヴ・ウェックル
The Chick Corea Elektric Band
with Frank Gambale, Eric Marienthal,
John Patitucci, Dave Weckl

Chick Corea(p)チック・コリア
Frank Gambale(g)フランク・ギャンバレ
Eric Marienthal(sax)エリック・マリエンサル
John Patitucci(b)ジョン・パティトゥッチ
Dave Weckl(ds)デイヴ・ウェックル

Set List
1. Charged Particles
2. Trance Dance
3. CTA
4. Alan Corday
5. Silver Temple
6. Got A Match (ENCORE)

#LIVE
今度こそ19/08/18
数年前、ギターを練習するんだと宣言したくせに、結局途中でくじけてしまいました。
でも、どうしても歌いたい曲があって、それにはギターが弾けたらどんなにいいだろうと、またまた挑戦しようかと思い始めました。

「ねえ、ギターを買おうと思うの。」 (いきなり買うって方向に行くのか!)
「なんで?!」 (驚く息子)
「小さな手でも弾きやすいのって無いのかなあ。」 (あくまで楽したいらしい)
「親父のギターがあるでしょ。」 (やっぱりそう来るか)
「だって、指、痛いもん。」 (それでも食い下がる)
**  (しばしの押し問答)
「あんなに弾きやすいギターは他にはないよ。相当調整したんだから。
そもそも、自分がちゃんと練習しないのに、道具のせいにしちゃあだめでしょ。」 (そうだそうだ)

いやいや、ごもっともです。
そんなわけで、また夫のギターで練習を再開いたしました。

「ねえ、弾きたい曲があるのだけれど、超マイナーな曲だからどこにも楽譜がないのよ。」

息子が楽譜を書いてくれました。
そして、あらためて、レッスンまでしてくれました。
至れり尽くせりしてもらったのだから、今回は途中でギブアップはだめですよね。

まだ2週間も経っていませんが、毎日、練習しています。
指先が固くなるまで絶対頑張るつもりです。  (絶対と言ってしまった・・・)

ちょっとずつ練習していたら、楽しくなってきました。
と言っても、誰に披露するわけで無し、完全自己満足です。
kaiちゃんがいたら、オーディエンスになってくれるんだけどね。まっ、全く興味ないでしょうけど。

夫がいたなら、ギターは練習しなかったことでしょう。笑われるだけだし、なにより彼に弾いてもらいます。
ずっと昔、わたしの弾くギターを真似してにやにやしていた彼を思い出しました。
もう、ほんと馬鹿にされたのね。茶目っ気たっぷりの表情で。
反省の一言 2019/08/09
パスタ、上手に食べるね。
ある日、音を立てずにきれいに食べる息子に言った。
そうしたら、
だって、子供の頃、音を立てずに食べなさいって言われたからね。

ああ、そうだったか、はげしく後悔。
いや、躾としてはいいと思う。実際、彼のパスタの食べ方は正しい。わたしには真似ができないほどに美しい。
でも、たぶんわたしは自分はちゃんときれいに食べることができないくせに、子供には厳しかったのだ。それがいけない。
なんでも自分が思う正しさを子供に押し付けていたと思う。自分のことは棚に上げて。

子育てに正解などないと言うけれど、わが身を振り返れば反省することばかりである。
だいだい、子育てと言う言葉からして、驕りがあるというもの。子育てならぬ、親育てになっていることもしばしばなのに。
今思い返せば、後悔することがたくさんあって胸が痛い。

さて、パスタは音を立てずに、もちろんソースを飛び散らかすことなく美しく食べたい。
でも、これが難しい。いつになったらできることやら。
驚きのアルバム 2019/08/07
凄いアルバムを発見してしまいました。
フリージャズもしくはジャズロックというか、プログレというか、ハードロックというか、とにかく聴いたらびっくり、そして聴き続けていく内にとりこになってしまいました。

『Love Will Make A Better You』 by LOVE LIVE LIFE + 1 (1971年)

市原宏祐 – サックス/フルート/ストリング、ブラス・アレンジ
横田年昭 – フルート/サックス
水谷公生 – ギター
直居隆雄 – ギター
柳田ヒロ – オルガン/ピアノ
寺川正興 – ベース
チト河内 – ドラム
川原直美 – パーカッション
布施明 – ヴォーカル  (+ 1というのは、布施明さんのこと)

1. The Question Mark
2. Runnin' Free
3. Love Will Make A Better You
4. Shadows Of The Mind
5. Facts About It All
6. Love Will Make A Better You(Live Take)
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71年作、ジャパニーズ・ロック黎明期に録音されたプログレッシヴなスーパー・セッション・アルバム
水谷公生(g)、柳田ヒロ(key)、布施明(vo)、市原宏祐(sax/flute)などによるグループ。71年作。頭に浮かんだのが、KING CRIMSON「太陽と戦慄」 meets CAN「EGE BAMYASI」。剥き出しの攻撃性、破壊的なエネルギー、硬質なグルーヴ、ぶっ壊れているようで整合性が感じられる熱くクールな音質。暴力性と理性が絶妙にバランスした圧倒的に緊張感溢れるサウンドを聴かせています。しかも驚くべきは、クリムゾンよりもカンよりも先にリリースされていること。日本のジャズ・ロック/プログレの歴史的傑作。これはぶっ飛びます。.
-----(プログレ専門のカケハシレコードのノートより)

「71年にリリースされたフリー・インプロヴィゼンション主体のセッション・アルバムだが,当時の日本の意識を考えると,明らかに時代を先行した内容でごく一部のアーティストの意識は既に世界的水準であったことが窺い知れる貴重な歴史的作品である。
-----(「CDジャーナル」データベースより)
1971年リリースといったら、なんともう半世紀に近いほども前ではないですか。
しかも、キング・クリムゾンの『太陽と戦慄』より先にリリースされているなんて驚きです。
超絶ジャズ・ロックとして世界的に知られた名盤として、今も中古レコードは高値のようです。

今回、ひょんなことからこのアルバムを発見、2009年に再販されたCDを購入しました。その後、1998年発売のLIVE音源(Love Will Make A Better You(Live Take))も入っているCDも、どうしても聴きたくて手に入れてしまいました。

全曲、アグレッシブで超ワイルド、ギターもベースもドラムもフルートもサックスもみんな凄いし、ソウルフルでハスキーなヴォーカルも素晴らしいです。
特に15秒間の静寂無音から始まる『The Question Mark』は18分もの大曲、圧巻としか言いようがありません。
アルバムタイトルになっている『Love Will Make A Better You』もカッコいいです。LIVE録音では、布施さんとロック好きではないだろう観客とのゆるいやり取りに思わず笑ってしまいますけれど、MCの後はパワフルなシャウトと凄い迫力のハードロックな演奏が繰り広げられます。
東洋的な趣も感じられ、幻想的な景色が広がるかと思えば、ガンガンのノリの良い曲あり、サイケデリック且つアヴァンギャルド、ヴァラエティに富んでいて、とても楽しめるアルバムです。

わたしも十代の頃はみんなと違わず、めちゃくちゃロックに夢中になっていた時期がありました。でも日本のロックには全く興味が無かったし、もちろんこのアルバムの存在も知りませんでした。今回久しぶりにハードなジャズ・ロックを聴いて、なんか懐かしく、夢中になっていた当時のことを思い出してしまいました。
そう言えば、夫はツェッペリンのあの伝説の武道館LIVEに行ったことが自慢でした。
おかしいけれど、それがステイタス。
空白の時間 2019/07/19
SEDONAへの旅を計画中

出かける時、駐車場の心配が無ければ、たいてい車で向かう。決して上手くはないけれど、運転するのは好きだ。
特にひとりで、何処へでも自由に走るドライブは素敵だ。後部座席にkaiちゃんがいればもっと最高だけど。
好きな音楽を聴きながら、何を考えるでもなく、さまざまに想像し、思い巡らしながらのドライブ、何時間でも平気だ。

けれども都内へ出る時などはバスや電車を使う。気楽に揺られながらのひとときも素敵だ。
車窓からの眺めを楽しむ。住宅や学校やビルが通り過ぎ、マンションのベランダのたくさんの箱を眺め、駅のホームの人々を追い越して、なんとなくそこにいる人々の暮らしに思いを馳せたりする。
車内に居合わせた人々を見やる。やはりなんとなく観察したり、あるいは想像してみる。あれこれとめぐらすうちに、思いがけなくいいアイディアや言葉ややりたいことが浮かんだりする。

そういう空白の時間が必要だ。考えること、それが無ければわたしはわたしでなくなる。考える喜びと言えるかもしれない。
車中で読書したりゲームしたり、時には英単語の暗記をしたり、ネットを見たりもいいけれど、ただ漠然とでも『考える』というのも悪くない。

時間を無駄にした気分になるかもしれないけれど、その無駄と思われる時間こそが幸福な時間である。
無駄こそ、心豊かな生活に寄与しているように思う。

人生は意味があることばかりで出来上がるわけではない。目的もなく無為なことに没頭することこそ、もしかしたら最も価値あることかもしれないではないか。

この秋、久しぶりに遠くへの旅を計画している。
飛行機を乗り継ぎ、バスに何時間も揺られる長い旅だ。車窓からどんな風景が広がるのか、どんな人々が通り過ぎていくのか、たっぷりの空白の時間を楽しもうと今からわくわくしている。
BILL EVANS TIME REMEMBERD 2019/07/04
苦手な街、渋谷まで出かけて『ビル・エヴァンス タイム・リメンバード』を観てきた。雨がそぼ降る渋谷の街、駅を出て雑踏の中、UPLINKまで一本道をしばらく歩く。映画館に入れば、たぶん昔からビル・エヴァンスが好きなのだろうなと思われるおじさまやおばさまたち、そして少しの若い人たちがぽつぽつと集っていた。大きくはないスクリーンを前にして、こじんまりした暗い部屋でまるでビル・エヴァンスの隠れファンのオフ会みたいな空気が静かに漂っている。

わたしがジャズをほんとうに好きになったのは、ビル・エヴァンスの「ポートレイト イン ジャズ」を聴いた時からだ。それまでは、ポップスやフュージョンとかを聴くことの方が多かった。
そのレコードは、和田誠&村上春樹の「Portrait in Jazz」というジャズに関する本を読んで、思わず購入したのだった。本の帯には「ジャズがほんとうに好きな二人がつくったとっておきのジャズ・ブック」と書かれている。和田誠さんが往年のジャズ・ミュージシャン26人を選んでそれぞれのユーモラスであったかい絵を描き、村上春樹さんが、それぞれへの想いを的を得た彼独特の言葉でつづっている素敵な本だ。

『Portrait in Jazz』1959
Trio with Bill Evans (p) , Scott LaFaro (b), Paul Motian (d)
映画はポール・モチアン(Paul Motian)へのインタビューで始まる。ポール・モチアンはあの伝説のファースト・トリオのドラマーである。彼は1931年生まれでエヴァンスは1929年生まれ、2歳違いのエヴァンスが今も生きていたなら、彼と並んでわたしたちの前に姿を見せてくれたのかもしれないと思うと、急にエヴァンスが近い存在に思えてきた。彼はずっと昔の過去の人ではなく、今を生きる私たちと同じ場所の人なのだ。
ポール・モチアンはこの映画の公開を待たずに2011年11月22日、80歳で亡くなっている。最後まで現役のドラマーとして活躍し、亡くなった年にチック・コリア、エディ・ゴメスとのライヴアルバム「FURTHER EXPLORATIONS」をリリースしている。このインタビューでも実に若々しく、生き生きと熱くエヴァンスとの出会いを語っていた。

ポール・モチアンとスコット・ラファロとのピアノトリオの演奏を映像で観られただけで、この映画を観たかいがあったと思った。何をどう説明したらよいか、言葉が見つからないけれど、奏でられる音の一つ一つはすいっーと胸に静かに沁み込んできて、気持ちよくて、めちゃくちゃ美しい。
村上春樹さんはスコット・ラファロのベースをこんな素敵な文章で表現している。
「春のようにみずみずしく、また森のように深いベース・プレイ」
エヴァンスのピアノについては、
「人間の自我が(それもかなりの問題を抱えていたであろう自我が)、才能という濾過装置を通過することによって、類まれな美しい宝石となってぽろぽろと地面にこぼれおちていく様」と。そう、まさしくルビーやエメラルド、サファイヤやダイヤの粒が踊る音楽だ。

マイルス・デイヴィスのバンドでの演奏、これも貴重な映像であった。エヴァンスは青ざめて片隅にうずくまり、今夜は僕には弾けないと言ってナーバスになることもあったという。しかし、その演奏は『カインド・オブ・ブルー(Kind of Blue)』が証明するように、ジャズ界で今も最高と言われる画期的な演奏であり、素晴らしく美しいものだった。

エヴァンスはジャズミュージシャンとしては、世界中にその才能を認められた成功者であるが、送った人生には「悲惨な」という形容詞がつく。脱出を試みながらも、結局は薬物中毒から逃れることができず、それが原因で51歳で死んでしまった。その死について、親しい友人はインタビューに答えている。「彼の死は時間をかけた自殺というものだった。」初めて麻薬を使用したのは、兵役中であったという。

映画は、スコット・ラファロの25歳の若さでの交通事故死、共に薬物に飲み込まれていた恋人エレインの地下鉄飛び込み自殺、敬愛していた兄ハリーの銃による自殺、エヴァンスの苦悩をよそに淡々と時を刻んでいく。多くのインタビューと記録映像と共に。
思えば、常に死が彼の周囲にはあった。それも悲惨な死に囲まれていた。

友人の運転で恋人と共にエヴァンスは薬物から逃れるための治療に向かった。その途中、車中で大量の喀血をして、大急ぎで病院へ担ぎ込まれたものの、あっけなく亡くなってしまった。その時の様子を話す若い恋人ローリーの言葉が、ものすごく印象に残った。
「私は救われた気分で幸福だった。だってビルの苦しみが終わったんだもの」
恋人の死に遭遇してそんなふうに言えるとは、エヴァンスの苦しみはいかばかりであったろうか。身体も心もぼろぼろで悲鳴をあげていたにちがいない。わたしにはその苦しみを想像することさえもできないが、そのくせ、彼女の言葉はストンとわたしの胸に入ってきた。確かにそういうこともあるかもしれない。なぜって、ほんとうに人は悲しみに満ちているのだもの。

『美と真実だけを追求し他は忘れろ』
エヴァンスが死ぬ少し前に歌手のトニー・ベネットに話した言葉だ。美と真実だけ、彼にとっては音楽こそが美と真実だったのか。音楽の中にそれを見出そうと必死にもがき苦しんだのだろうか。きっと彼のピアノの一音一音には美と真実が存在するだろう。ただひたすらに求め続けたのだから。

『My Foolish Heart』で始まる『Waltz for Debby 』
今夜は心をからっぽにして、このアルバムを聴くことにしよう。
クリムト展 2019/06/24
クリムト展(ウィーンと日本1900)東京都美術館
19世紀末ウィーンを代表する画家グスタフ・クリムト(1862-1918)没後100年を記念する展覧会です。

上野公園の美術館界隈、土日はさぞ混んでいることだろうと平日に訪れましたが、それでも多くの人々で賑わっていました。
ずっと奥まで歩いて行くと、ステンレスの球体が目を引く東京都美術館でクリムト展は開催されていました。
長蛇の列に並ぶこと15分位、人気なのですね。わかっていたけれど。

クリムトと言えば、「接吻」ですけれど、オーストリアの国宝的作品ということで国外への出品は許されていないのだそうです。
それでも、今回、「ユディト」をはじめとする主要な作品を含めて過去最多の出展数だそうです。
大壁画「ベートーヴェン・フレーズ(複製)」(全長34メートルのコの字型)もすごい迫力でした。

輝くばかりの金箔や日本のモチーフが多用されています。クリムトがこんなにも日本美術からの影響を受けていたのかと、19世紀にジャポニズムがフランス始めヨーロッパをいかに席捲していたことかと驚きました。
彼の自由で大胆で斬新、妖しくも刺激的な美しい世界に引き込まれて、全部見終わった後には頭がくらくらしてしまいました。

DER ZEIT IHRE KUNST,DER KUNST IHRE FREIHEIT
「時代にはその芸術を、芸術にはその自由を」
グスタフ・クリムトが中心になって結成した「ウィーン分離派」の標語です。セセッシオン(分離派会館)の入口に掲げられています。その言葉通り、さまざまな抵抗を受けながらも、クリムトは古典的な伝統を打ち破って、自由な新しい造形表現を求め続けました。

多くの作品の中で、最も気になってしまったのは、
『女性の三時代 / The Three Ages of Woman』
幼少期、若年期、老齢期にある3人の女性と背景の細胞から生と死を表現している作品なのだそうです。
幼少期、若年期は生を老齢期は死を意味しています。
オーギュスト・ロダンの『昔は美しかった兜鍛冶の女(老いた娼婦)』からインスピレーションを受けて描いたという老婆、手前の女性と幼児が生き生きと美しいだけにその醜さに衝撃を受けます。ロダンの『老いた娼婦』は顔の表情から哀しみの中にも穏やかさや温かさも垣間見られるように思いますが、クリムトの老婆は顔を覆っていて絶望としか言いようのない姿です。
その重苦しい無残な印象が心にずしんと来てしまい、その前から動けなくなるのでした。
実は、クリムトはもっと現代に近い人かと勘違いしていました。というのも、そのデザインがすごく現代的でおしゃれだからです。今から100年以上も前、19世紀の後半から20世紀にかけての時代の方だったのですね。
クリムトは結婚はしなかったけれど、14人も子どもがいたそう。さぞかし魅力ある男性だったのですね、きっと。
多くの愛人を持っていたクリムトですが、彼が最も愛した女性はデザイナーで企業家の女性エミーリエ・フレーゲルでした。生涯に亘ってプラトニックの愛だったとも言われています。クリムトは死を迎える最後の時に彼女を呼んでくれと言ったそうです。
エミーリエはクリムトの死後、彼との全ての手紙を焼き、生涯独身でした。クリムトが愛したエミーリエも実に凄い女性だったのでしょうね。
ケルン・コンサート 2019/05/19
このCDを聴いた時の衝撃をなんと言い表わすことができるだろう。
ケルン・コンサート 1975年 キース・ジャレット 30歳の時の演奏だ。
調べれば、伝説になるほどのエピソードが満載だから、いかにこのCDの評価が高いかがわかる。
実際、聴いてみて、度肝を抜かれた。
最初の一音目から、その限り無い透明な美しさに、時が止まったかと思った。
事実、わたしの思考はぴたりと止まって、天から降ってくる音楽に集中した。
音楽はまるで雨のように降り注がれた。
渇いた地面をみるみる潤すかのように、しかし激しくではなく、静かに染み込んで行く春の雨のように。
美しい祈りにも似て、心にしんしんと濡れ落ちて行くのだった。
最初から最後まで、息をのみ身動きもせずに聴き込んでしまった。
きっとこういうのを奇跡と言うのだろう。
マーマレード 2019/05/07
毎朝、カーテンを開け放った窓から広がる樹々と空を眺めながらコーヒーをすすります。

いい時間、樹々が揺れていれば、今日は風があるなとか、いつも同じ枝に休む鳥を見て、そこが落ち着くのかなと思ったり、いつのまにか雲が切れて青空が覗いたら、とたんに気持ちは明るく上向きになります。

朝の定番はヨーグルト、マーマレードをかけて食べます。
無類のマーマレード好きです。手作りのマーマレードは絶品です。いつも頂き物ですが、本当に美味しい。苦味が効いていて、抑え気味の甘さ、たっぷり残るまだ瑞々しい夏蜜柑の皮、その歯触りがなんとも言えない満足感を与えてくれます。

こうして1日を始められる清々しさに、感謝しなくてはなりません。
あんまり素敵なひとときなので、いつまででも座り続けてしまうのは困りものですけれど。

コーヒー、もう一杯だけ飲んだら、仕事に取り掛かりますよ。
さっ、今日も頑張れ。
La Boheme 2019/05/06
「Something Jazzy」「WALK」AKIRA FUSE しみじみと優しい歌声

youtubeでmusic動画を観ていると、時間がどんどん過ぎてしまいます。
いけないいけない、つい夜更かしになります。

コンサートに好きなだけ行けるわけではないから、ネットで観られるのはとても嬉しいことです。ましてや、過去の知ることもなかったパフォーマンスまでふんだんに観ることができる、実に予想だにしていなかったことです。

さて、いつもはクラシックやジャズが多いのだけど、偶然、布施明さんの動画を観ました。そして、あまりにも素敵で釘付けになってしまいました。大事に丁寧に歌い上げるその声のなんと美しく優しいこと、若い頃の伸びやかな声も現在のふくよかな声もどちらも魅力的で、胸に染み入ります。
沢山の動画の中で、繰り返し観てしまうのは、「La Boheme」 と 「しのびよる愛に心を開いて(原曲はJe t'aime)」 。
やられてしまいました。心に天使の矢が刺さってしまったわけです。

La Boheme はシャルル・アズナヴールの曲、(作詞;ジャック・プラント、作曲;シャルル・アズナヴール)シャンソンの中でも何十年も歌われてきた美しい曲です。Je t'aime はベルギー出身のシンガー・ソングライター ララ・ファビアンLara Fabian の代表曲、心揺さぶる切ない曲です。どちらの曲も布施明さんが自ら訳詞をして歌っています。
彼は多くのシャンソンや外国の歌の訳詞をして歌っているのですね。その詩がまた素晴らしい。ほとんどはコンサートで歌うだけのようで、収録されているCDがあまり無いのが残念です。彼はシンガーソングライターでもあります。多くの曲を書いて歌っています。わたしは特に「I LOVE YOU」が好きです。「I LOVE YOU」というタイトルの曲はたくさんあるけれど、布施さんの曲ほど優しさの滲み出ている曲は他にありません。

話が逸れてしまいましたが、La Bohemeはある男性が昔、パリで画学生だった頃、若く貧しかった時の恋を歌っています。日本では多くはなかにし礼さんの訳詞で歌われています。原曲の雰囲気を残しつつも、女性を主人公としていて、忠実な訳詞とはなっていません。フランス語の歌詞をそのままの訳で日本語歌詞にするのは、土台無理なことと言わざる終えません。
一方、布施さんのは訳詞と言うよりは作詞、彼独特の世界が広がっていて一気に心鷲掴みにされてしまいます。違うと言われるかもしれないけれど、フランソワーズ・サガン「ブラームスはお好き」のシモンを思い出しました。

Je t'aime からLara Fabian の動画にたどり着きました。彼女は世界的にとても有名だと言うのに、今まで知らなかったのが実に残念です。抜群の歌唱力には驚嘆してしまいますが、彼女の作る曲が本当に美しく切ないのです。

クラシックやジャズ、ロック、シャンソン、ポップス、R&B、ソウル、レゲエなどなど、音楽のジャンルは限りなく、人それぞれ好みはあると思うけれど、そんなジャンルに関係なく、胸にグッと迫る音、音楽の力は凄いと、つくづく思います。音楽は眠っていた記憶を呼び覚まし、しばし立ち止まらせてくれます。楽曲の中に住む作曲者や作詞者、編曲者、演奏者や歌手、その人たちと直接に向かい合える、音楽を通して、強力で不思議な力を感じます。心の深いところで、響きあい共鳴するのです。

折につけ、ああ、人生は短いのだとしみじみ思うこの頃です。もっともっとたくさんの音楽に触れたい。知りたい。聴きたい。観たい。でもいったいどれだけを味わうことができるのでしょう。これからはLIVEコンサートにもっと積極的に足を運ぼうと、強く思ったことでした。
kaiちゃんにかける言葉 2019/04/21
ケーキが出来上がって嬉しそうなkaiちゃん

「良かったね。」
kaiちゃんと交わす言葉にその言葉があります。
「良かったね。kaiちゃん」
誰かに褒められた時、優しく撫でてもらえた時、大好きなボール遊びに興じた時、美味しいものを食べた時、きれいな景色を見た時、苦労して山の頂上にたどり着いた時、数え切れないほどの日々の小さな出来事について、kaiちゃんと見合って、この言葉を交わしました。目と目を見合わせて、良かったねって言ったものでした。

さて、最近はどうでしょうか。
いいことあったかな?

仕事ではトラブル続きで疲れ果て、ため息ばかりの毎日でした。右往左往しても、結局は収まるところに収まるもの、小心者の私のこと、自分自身に喝を飛ばしたりしていました。ここに来てようやく何とか落ち着いて、次のステップに進めそうです。
良かったねって、kai ちゃんに目くばせしています。

そう言えば、今日は続けていいことがありました。
まずひとつ、無くしたベビーパールのピアスの片われをお掃除していた時に見つけました。玄関ホールの片隅に落ちていたのです。よかったよかった。
それと、 この間車検をお願いした整備工場さんからもらった宝くじ、何の気なしに調べてみたら、なんと1万円が当たってた!20年来のお付き合いのその整備会社は点検に出すと必ず宝くじをくれるのだけど、当たっているかと調べたことなんてなかったのですよ。なのに今回に限って、、、チェックして良かったです。
さあ、他にもいいことあるかしら?
そうそう、何年振りかにシクラメンの花が咲きました。それもこの4月に。お水をあげるほかは何の世話もしていなかったのに、反って申し訳ない気持ちになりました。健気な姿に思わず小さな歓声を上げました。
先月は友人との会食で、気後れしながらも思い切って付けてみた赤い口紅、似合うと言われて、気持ちまでぱあっと明るくなりました。
思い巡らしたら、いいこと沢山、次々見つかりそうです。

ささやかなことでも、kaiちゃん、良かったね。そう呟けば、返してくれる笑顔、明るい眼差しが目に浮かんでくる、しみじみ、良かったって思えます。

ついつい下ばかり見て、まわりや先が見えなくなっていることがあります。kaiちゃんがいなくなってからは狭い場所に閉じこもってしまいがちでした。
いいこと沢山あるのに、目を上げずにいたので気付かないでいたかもしれません。

久しぶりに来週は旅に出るつもりです。春の北アルプスを眺めて来ようと、急に思い立って、宿を取りました。いいこと沢山待っていそうです。旅の道々、良かったねってkaiちゃんにつぶやくこと必至です。
女神たちの愛のうた 2019/03/10
コンサートは都内に出かけることが多いのだけれど、今回は鴻巣まで行ってきました。

「女神たちの愛のうた」
Vn:千住真理子 Vc:長谷川陽子 Pf:仲道郁代

<プログラム>
J.S.バッハ「無伴奏チェロ組曲第1番」よりプレリュード(Vc.)
ポッパー「ハンガリー狂詩曲」(Vc./Pf.)
ドビュッシー「月の光」(Pf.)
ショパン「バラード第1番」(Pf.)
マスネ「タイスの瞑想曲」(Vn./Pf.)
パガニーニ「24のカプリス」より第24番(Vn.)
J.S.バッハ「インヴェンション 第1番」(Vn./Vc.)
J.S.バッハ「インヴェンション 第7番」(Vn./Vc.)
J.S.バッハ「インヴェンション 第8番」(Vn./Vc.)
メンデルスゾーン「ピアノ三重奏曲 第1番」(Vn./Vc./Pf.)

クレアこうのす 大ホール

年に数回はコンサートに出かけるようにしています。チケットはたいてい何か月も前から購入するわけで、当日どんなに忙しくても時間を割いて出かけることになります。それが、いいことだと思っています。
時間がある時にとか、気が向いたらとか思っていたら、結局行けずじまいになってしまいますからね。

長谷川陽子さんのバッハの無伴奏チェロ組曲の荘厳で静謐な演奏に思わず引き込まれ、千住真理子さんのパガニーニは超絶技巧のヴァイオリン、その想像を超えての情熱的な響きに圧倒され、仲道郁代さんのドビュッシーの月の光のピアノの音色には思わず目を瞑ってしまうほど魅了されてしまう、「女神たちの愛のうた」というタイトル通り、うっとりするような素敵なコンサートでした。

#LIVE
100分で名著 2019/03/04
だめですよね、、ちゃんと読まずに読んだ気になってるって。
Eテレの『100分で名著』を毎回逃さずに観ています。
読んでないのに、読んだ気になっちゃうのはだめだけど、すごく参考になる、考えさせられます。
100分でわかるはずもないのだけれど、ある特定の視点に立っての解説が自分の受けていたこととは違っていたりして、目からうろこなんてこともあります。
最近でとびきりに感銘を受けたのは、『オルテガ“大衆の反逆"』です。テキストまで買ってしまいました。
指南役は政治学者の中島岳志氏です。
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自分の居場所をもち、社会での役割を認識して、その役割を果たすために何をなすべきかを考える人、それが彼にとっての本来的な人間だった。近代人はそうではなくなり「大衆」化してしまっている。そして、その大衆はたやすく熱狂に流される危険があるというのが「大衆の反逆」という問題設定なのです。

トポス 自分の場所を失った 個性を奪われた人間 みんなと同じであることを喜ぶ平均人
平均人の特徴は一つは他人の意見に耳を傾けない。

専門家こそ大衆の原型である。
専門化によって失われた教養
専門化が進み、--幅広い教養が失われた時代、専門家ばかりで、教養人が少なくなっている時代。
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正に、今 現実に起きていることと思わずにいられません。
危機がそこに迫っているように感じます。
私も大衆の一人だからこそ、無関心ではいられません。
大きな波に流されないように、常に自分を顧みて、ささやかでも行動できる人でいたいと思いました。
いはで思ふぞ 2019/02/16
枕草子の講義を聴く機会がありました。春はあけぼの・・・で誰でも知っている枕草子ですが、じっくり読むことが無かったので参加したのはとても良かったです。
段に沿ってではなく、歴史に沿って読み進むと言う興味深い講義で、今まで知らなかったことが明らかになって、非常に有意義な二日間でした。

その中でとても印象に残った個所について書き留めておこうと思います。
清少納言は里居している時期に主人の中宮定子から長い手紙を受け取ります。手紙には山吹の花びらが包まれていました。なんと、花びらには「いはで思ふぞ」と書かれてありました。小さな花びらにです。
それは、歌集「古今和歌六帖」に載っている歌の一句でした。

「心には下ゆく水のわきかえり言はで思ふぞ言ふにまされる」 詠人知らず(古今和歌六帖)
(私の心の中には、表面からは見えない地下水がわき返っているように、口に出さないけれど、あなたのことを思っています。その思いは口に出して言うよりずっと優っているのです)

敬愛する定子が注いでくれた深い愛情によって、清少納言は再び仕える決心をしたのでした。中宮定子と清少納言は主従の関係だけではない強い友情によっても結ばれていたのだと思います。

口には出さずとも心の底には思いが湧くように流れているというのは、誰にでも経験があることです。そういう言葉にできない、もしくは言葉にはならない思いこそ尊いのかもしれません。

こんな詩も思い出しました。

みづのたたへのふかければ
おもてにさわぐなみもなし
ひともなげきのふかければ
いよよおもてのしずかなる
        高橋元吉

心の深いところに流れている川をみな持っているのですね。
口遊めば、こんこんと湧き出る水をたたえて、尚静かな水面、下を流れる水を感じることができそうです。
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